楽譜
お箏に限らず、日本の楽器はもともと楽譜がなく、節を音(オン)で表した唱歌(しょうが)=いわゆる口三味線で伝えられてきました。
特にお箏は、江戸時代から明治時代まで、演奏・教授は幕府が盲人の方に専門特許として与えていた仕事の1つでした。目が見えない先生が行う稽古ですから、当然楽譜はありません。
生徒は先生が弾くのを真似して覚えるよりほかありませんでした。
今のように録音機器もない時代に、1曲覚えるのは大変なことだったと想像できます。
明治時代に、記譜法が開発され、「お箏の楽譜」ができました。
縦書きで漢字で書かれた楽譜は、西洋音楽の五線譜しか習って来なかった人たちには、なんだか暗号のように見えますが、大変わかりやすく合理的に表現されています。
*流派によっては、横書きの楽譜を使用することもあります。
「さくらさくら」の楽譜をご覧ください。2行ずつ鍵カッコでくくられているのは、1行目が1箏、2行目が2箏のパートです。漢字は絃の番号を表しています。絃の番号は、弾く人が座った時に、一番遠い奥の絃が1になります。11、12、13はそれぞれ斗(と)、為(い)、巾(きん)です。
実線で区切られているのが1拍、二重線で区切られているのが1小節になります。
これだけでも、なんだか弾けそうな気分になってきませんか?
洋楽器と合奏する時には、五線譜も使っています。現代では、様々な楽器と合奏することも多く、初めから五線譜で作曲される方も増えているようです。
お箏の演奏家の方は、両刀使いなんですね。