腹巻き
11月に入り、寒さがぐっと厳しくなってきました。そろそろ腹巻きの季節ですね。
お箏も腹巻きをしています。
お箏の腹巻きは保温をするためではありません。
お箏は桐の木を削って作られています。
桐の木材としての特徴は、細胞の膜壁が薄く中の空気層が大きいので、柔らかく軽い、という点が挙げられます。
大変柔らかいので、保管の際に、琴柱を立てたままにしてしまうと、琴柱の痕がついてしまいます。
そのため、しまう時は琴柱を外すのですが、それだけでは不十分です。
絃は、左右のブリッジ(「龍角」と「雲角」)に張られていますが、中央部は、甲(お箏の本体)が膨らんでいるため、琴柱を外すと、表面が、絃に押さえつけられている状態になります。
このまま保管してしまうと、表面に絃の痕が縞々についてしまいます。
お箏の腹巻きは、それを防ぐために、手ぬぐい等で当て布をしているのです。
丁寧に扱わないと、傷つきやすいお箏ですが、その特徴のおかげで、美しい音色を響かせられるのですね。